脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)について

脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔などの皮脂分泌の多い場所(脂漏部位)や腋窩などの間擦部に、黄色~銀白色のフケのようなものを伴った赤みが生じる皮膚炎です。
新生児・乳幼児期に生じる「乳児型」と思春期以降にみられる「成人型」があります。
乳児型は一過性であり、正しいスキンケアによって生後8~12か月頃には自然治癒します。
成人型は一度発症すると、良くなったり悪くなったりを繰り返し、多くは慢性的な経過をたとります。40~50歳代以降の男性に多くみられます。

主な原因と考えられているもの

皮膚に常在しているマラセチアというカビ(真菌)の一種が関わっていると考えられています。
マラセチアは皮脂を栄養源としています。そして、皮脂に含まれる成分トリグリセリドを遊離脂肪酸へと分解します。この遊離脂肪酸が皮膚に与える刺激が脂漏性皮膚炎を発症する原因の1つと考えられています。また、この増殖したマラセチア自体も皮膚に炎症を起こすと考えられています。
マラセチアは皮脂量が多くなると増殖しますが、その異常な増殖の根本的な原因は未だわかっていません。可能性として、環境による皮脂成分・分泌量の変化やビタミンB2・B6などの代謝異常、不十分な入浴・洗顔、ストレス、寝不足、ホルモンの乱れなどが挙げられています。
成人型の脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌を促進するアンドロゲンという男性ホルモンの影響が関係していると考えられています。

症状と現れやすい部位

頭部や顔面、胸部など皮脂の分泌が盛んな脂漏部位に発症し、患部の皮膚は赤くなり、鱗屑が増え、結果としてフケがみられるようになります。
痛みはなく、まれに軽微なかゆみを伴う場合があります。
症状が深刻化すると、フケや剥がれた皮膚、滲出液がかさぶたのように患部を覆うこともあります。

乳児の場合は、生後2〜4週間ごろから頭や額、眉毛などに黄色っぽいかさぶたや赤みがみられますが、多くは生後1年以内に自然に落ち着いていきます。

成人型では、頭皮にフケのような白いかさつきが現れたり、顔や耳まわり、鼻のわきなどに赤みや皮むけ、かゆみが生じることが多く、慢性化することもあります。ジュクジュクした状態や硬いかさぶたができることもあり、乾癬との見分けが必要な場合もあります。

脂漏性皮膚炎が発生しやすい部位

当院での対応

アカラクリニックでは、脂漏性皮膚炎の原因や症状に応じて、皮膚科専門医が丁寧に診療を行っています。

治療では、原因のひとつとされるマラセチア菌に対応する抗真菌薬の外用や、赤み・かゆみの炎症が強い場合にはステロイド外用薬を使用します。乾燥や皮膚のバリア機能低下がみられる方には、保湿剤の併用も行い、肌の状態を整えることを重視しています。かゆみによる掻き壊しがみられる場合は、必要に応じて抗ヒスタミン薬などの内服を提案することもあります。

乳児の脂漏性皮膚炎についても、正しいスキンケアと生活環境の整備によって多くが自然に改善するため、ご家族の不安にも寄り添いながらケア方法をご案内しています。

思春期以降に発症する成人型は慢性化しやすいため、早期の適切な診療と継続的なケアが大切です。症状にお悩みの方は、お早めにご相談ください。