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関節リウマチは、成人の約1%に発症すると言われている比較的頻度の高い病気です。関節内の「滑膜」と言われる部分に原因不明の炎症が生じるために関節が痛くなり、動かしにくくなり、腫れてきて放っておくと手足が変形してきてしまいます。関節リウマチのようにみえてそうではない病気も多数存在するために、まずは適切な診断がなされることが重要です。関節リウマチと診断された際には適切な治療が速やかに行われ、経過に応じて速やかに軌道修正がなされなければなりません。ひと昔前まで、関節リウマチは治らない病気でした。しかし現在様々な新規治療薬によって、治る病気に変わりつつあります。これら専門的な治療薬を使いこなすにはそれなりの知識と経験が必要となるため、専門医による診察が強く望まれます。
膠原病とは、本来は外からの病原体から体を守るべき「免疫」というものが、誤って自分の体を攻撃してしまう病気です。原因不明の熱が続いたり、関節が痛くなったり、皮膚に発疹がでてきたりと、全身に様々な症状が現れます。その診断や治療は難しく、生涯にわたってその病気と付き合っていかなければなりません。気になる症状がありましたら一度診察を受けることをお勧めします。
関節リウマチや膠原病の診療を行ううえで、稀に重篤な合併症や薬の副作用が出現することがあります。これはどんなに慎重に診療を行っていても必ずある一定の確率で出現するものです。入院が必要と判断された場合には「湘南鎌倉総合病院」や「東京医科歯科大学附属病院」へ早急にご紹介いたします。
手足の関節が痛くてこわばる。そんな症状が出てきたとき、リウマチという病気が頭をよぎるのではないでしょうか。実際に関節リウマチは成人の1%、つまり100人に1人が発症するといわれている比較的頻度の高い疾患です。そしてご高齢の方々がかかると思われがちですが、実際の発症年齢は40代くらいが多く、特に女性に多い疾患なのです。とはいっても10代で発症することもありますし、100歳になって発症したという患者さまも経験したことがあります。関節が痛くなる病気はほかにもたくさんありますが、それらを見分ける必要もあります。すぐに診断がつく場合もありますが、白黒はっきりせずにしばらく経過をみていかないとわからない場合もあります。
関節リウマチは関節の中の「滑膜(かつまく)」と言われる部分に炎症が起きてしまう病気です。炎症によってあちこちの関節が腫れ、熱を持ち、痛みが出現して日常生活に支障がでてきます。特に朝起きた時が一番つらく、こわばりとして症状がでることも多くあります。炎症と言っても外からバイキンが入って起こるわけではありません。自分自身で異常な免疫反応を起こしてしまい、炎症が勝手に起こってしまうのです。リウマチの原因って何ですか?とよく患者さまに聞かれます。私はわかりませんと答えます。もともと持っていた素因であったり、遺伝であったり、環境因子であったり、喫煙であったりと、原因と考えられるものは多岐にわたり人によって異なるのです。
とにかく、からだの節々の痛みがしばらく続いていて良くならないとき。とくに、手の指や、足の裏など、痛くて困っている方は一度受診しましょう。専門家がみて、さわったり、血液検査やレントゲン写真を撮ったりすることにより、診断がつきます。健診や人間ドックで、「リウマトイド因子」というものを調べることもあるかと思います。この数値が高いということで心配される方がおりますが、基本的に無症状であれば全く気にする必要はありません。リウマトイド因子は健常者やほかの病気でも高値になることもあるからです。逆にリウマチでもリウマトイド因子が出ない人もいます。検査でひっかかり、関節のなんらかの症状を自覚されている場合は受診して、詳しく検査をしてもらうことをお勧めします。
関節リウマチを治療するにあたって、目標は2つあります。1つ目は「痛みをとること」。2つ目は「変形を予防すること」。そしてポイントも2つあります。1つ目は、診断後できるだけ早く治療を開始すること、2つ目は、患者さまの状態に応じて治療を最適化していくことです。関節リウマチは炎症なので、早期にその炎症を抑え込む必要があります。かつて治らない病気だった関節リウマチも、今では良い薬が数多く出てきて、治る病気になりつつあります。長い経過の中で手指が曲がってしまうこともあるのですが、医学が進歩したいま、早期の診断と適切な治療によって変形をほぼ防ぐことができます。関節リウマチは一生の付き合いとなることがほとんどなので、定期的な診察や検査でしっかりと効果や副作用を観察し、患者さま一人ひとりに合わせた治療を行っていくことが大切となります。
関節リウマチの診断や治療において、様々な検査が必要となります。検査の目的は3つ。病気の進行具合をみること、治療の効果判定をすること、副作用をみることです。具体的な検査項目とその説明を以下に挙げます。関節に炎症が起きている状態が続くと、骨にも徐々に変化が現れてきます。まずは骨が薄くなり、局所的に骨粗鬆症の状態になります。そして骨びらん(erosion)という骨の虫食い状態がみられるようになります。最終的には骨が崩れたり、骨と骨が癒着したりして関節としての機能を果たさなくなります。その変化を最も簡便で正確にとらえるのがレントゲン検査になります。リウマチが疑われる患者さまはもちろん、リウマチの治療中の患者さまに定期的に検査をすることで、治療の方向性を決めていきます。また、肺のレントゲンもリウマチ治療においては重要です。リウマチの重篤な合併症として、「間質性肺炎」というものがありますが、これはリウマチ自体によっても生じることもあれば、その治療薬の副作用によって生じてしまうこともあります。またリウマチの治療で免疫力が低下したところに感染し、肺炎を起こしてしまうこともあるのです。
血液検査は、リウマチの診断、治療判定、副作用チェックに有用です。
いわゆる「炎症反応」で、リウマチの炎症の度合いをみる検査です。体でなんらかの炎症が起きていると敏感に反応して上昇します。リウマチの炎症があれば上昇するのですが、風邪などの別の炎症によっても上昇してしまうこともあります。一般的には、治療によってCRPをほぼゼロの状態にするのを目指します。ただ、はじめからCRPが上昇しないリウマチもあるので注意が必要です。
リウマチの「診断」に用いる検査です。これが陽性の場合はリウマチの可能性が非常に高くなります。一方で、リウマチであってもこれが陰性の人がいます。治療の効果を判定するためには用いることはありません。
リウマチの「診断」に用いる検査です。健診や人間ドックでもよく測定されることがあります。これは、陽性であってもリウマチ以外の疾患であることも多く、また全くの健常人ですら陽性になる人もいます。逆に、リウマチなのにリウマトイド因子が陰性という人もいるので、非常にあいまいな検査です。診察の結果と合わせて参考程度に用いる検査です。
関節に起きている炎症をみる検査ですので、治療の効果をみるために用います。炎症が強ければMMP-3も上昇し、治まってくるにつれて低下してくるのですが、困ったことに治療で使うことの多い「副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)」によって上昇してしまいます。MMP-3の数値が炎症を反映しているのか、ステロイドの影響なのかを医者側で判断しなければなりません。
肝臓の機能をみる検査です。リウマチで最もよく使われる「メトトレキサート」という薬によって、肝臓が痛んでしまうことが比較的多くあるために、定期的にモニタリングをしなければなりません。
貧血をみる検査です。リウマチの炎症が強く長く続いている人は、赤血球は消耗されてHbは低下します。また、メトトレキサートの副作用によって貧血になることもあります。そのときは、「MCV(平均赤血球容積)」という数値が大きくなってきます。
関節エコー検査は、関節リウマチが引き起こす滑膜の炎症を直接観察する画像検査で、比較的新しい炎症の評価ツールとして広まりつつあります。炎症を起こしている関節滑膜は健常な場合と異なり厚みを持ち関節液が増加した状態となり、内部に異常な血流信号を観察することができます。
痛みを抑え、炎症を抑え、そして関節の破壊や変形を防ぐのが治療の目的です。関節リウマチには様々な治療薬があるのですが、個々の患者さまの状態に合わせ、適切な治療方法を選択していくことになります。薬の強さや作用機序、その副作用はそれぞれ異なります。以下に代表的な治療薬とその説明を挙げます。
リウマチ治療において、非常に重要な薬です。通常1週間のうちの1日か2日間だけ内服し、他の日は休薬します。一般的には8㎎/週で開始して、状態をみながらゆっくりと増量していきます。最大で16㎎/週です。非常に効果的な薬ですが、効果が出てくるのが遅いのが難点で、100%の力が発揮されるまで3か月くらいかかります。高度腎機能障害、間質性肺炎、胸水や腹水のある人、妊娠を希望される人は使用できません。副作用:嘔気やだるさ、口内炎は比較的出やすい症状です。また肝機能障害によってAST/ALTが上昇してくることがあります。このようなときはMTXの量を減らしたり、葉酸製剤(フォリアミン)を加えたりすることで改善します。稀に起こる重篤な副作用は間質性肺炎、血球減少、悪性リンパ腫です。http://www.ryumachi-jp.com/pdf/mtx.pdf
リウマチ治療の補助として使用する薬で、メインになることはありません。非常に効果の発現も早く強力なのですが、長期に使用することによる副作用が多いためにできるだけ少なく、可能であればやめることが望ましい薬です。異常な炎症反応を抑え込む作用があるのですが、その結果通常の免疫機能も低下させてしまいます。副作用:感染症、高血糖、高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症、ムーンフェイス、不眠など。このような多数の副作用がありますが、使用量と使用期間に比例してその出現頻度や重篤度も変わります。少量で短期間であれば全く問題ない場合もあります。また、副作用を見越してあらかじめ予防薬でコントロールできることもあります。
リウマチの「痛み」そのものを抑える薬です。治療薬にはならず、補助的に用いられます。副作用:胃潰瘍や十二指腸潰瘍(ステロイドと併用しているとリスクがさらに高まります)、腎機能障害
商品名:ゼルヤンツ・オルミエント・スマイラフ・リンヴォック・ジセレカリウマチの炎症を起こす免疫反応の途中にある「JAK(ジャックと読む)経路」という部分を阻害して、過剰な免疫反応を抑え込む薬です。生物学的製剤と同程度の強力な作用をもつのですが、注射ではなく内服薬です。こちらも高額で、生物学的製剤とだいたい同程度の負担が生じてしまいますが、非常に効果の高い薬剤です。こちらも感染症にかかりやすくなってしまったり、重症化してしまったりすることがあります。また、帯状疱疹のリスクも増えますが、当院では多数の使用実績があるために安心して使用いただけます。
※帯状疱疹ワクチンについて(当院でも接種可能です)
https://jp.gsk.com/ja-jp/products/our-prescription-medicines/shingrix/
強力な抗リウマチ薬で、注射(点滴、皮下注射)で使用されます。1段階目の治療がうまくいかない場合に導入が検討されます。リウマチの炎症に大きく関与しているサイトカイン(TNF-α、IL-6)や、Tリンパ球を直接的に抑え込む薬剤となります。非常に効果的なのですが、価格が高額なのが難点です。感染症にかかりやすくなってしまったり、感染が重症化してしまったりすることがありますので、専門医のもとで適切な使用が強く望まれます。
以下の8種類の薬剤がリウマチに適応あり、使用が可能です。
TNF-αを抑える薬です。病院で点滴にて投与します。初回投与後、2週後と6週後に投与し、それ以降は8週間ごとに投与します。患者自己負担の少ないバイオシミラー(バイオ後続品)も出ています。
TNF-αを抑える薬です。毎週1回、自己注射します。患者自己負担の少ないバイオシミラー(バイオ後続品)も出ています。
TNF-αを抑える薬です。2週間ごとに、自己注射します。患者自己負担の少ないバイオシミラー(バイオ後続品)も出ています。
TNF-αを抑える薬です。4週間ごとに、病院で注射をします。
TNF-αを抑える薬です。はじめは2本ずつ2週間ごとに、以後症状に応じて投与間隔や本数を変更していきます。自己注射です。
IL-6を抑える薬です。点滴は4週間ごとに病院で、皮下注射は2週間ごとに自分で投与します。薬の性質上、CRPがあっというまにほぼゼロになってしまいます。したがって、CRPがリウマチの炎症をみる指標にはならなくなります。また、肺炎など重篤な感染症が発症しても、通常上がるはずのCRPが上がりにくくなったり、発熱しにくくなったりするために注意が必要です。
Tリンパ球の反応を抑える薬です。点滴は4週間ごとに病院で、皮下注射は毎週自分で投与します。
商品名:リマチル、アザルフィジン、プログラフ、ケアラムなど効果の程度としてはあまり強力ではない薬です。そのため、重篤な副作用も比較的少ないです。これだけで改善する人もいれば、これらの薬を補助的に用いて治療をしていく人もいます。
診察代、血液検査、レントゲンをあわせて約6,000円※3割負担の場合です