「イボ」は、皮膚から盛り上がっている小さなできもの一般を指す俗語です。

ウイルスが感染してできるイボ(ウイルス性疣贅、ミズイボなど)、老人性イボ(脂漏性角化症)など、様々に異なる皮膚病(多くは皮膚の腫瘍です)が含まれています。

中には悪性腫瘍のこともありますので、診断には慎重を要し、安易な自己診断は禁物です。

しっかりと治療するためには、早めに皮膚科を受診し、専門的な診断と適切な治療を受けることが大切です。

ウイルス性疣贅ができる原因

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV:human papillomavirus)が皮膚・粘膜に感染してできます。

正常の健康な皮膚には感染できませんが、小さな傷などがあると、そこから皮膚に入り込み、表皮の一番深い層(基底層)の細胞に感染してイボをつくると考えられています。

HPVは150種類以上の型があり、ウイルスの型によって、尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマなどを生じます。

ウイルス性疣贅の治療方法

自然に消失する場合もありますが、放置すると他の部位に広がったり、治療に時間がかかり、難治性になることもあります。また、患部を触った手指から別の場所に感染が広がるケースもあるため、早めの治療が推奨されます。

当院では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づき、液体窒素凍結療法、サリチル酸外用(スピール膏)などの推奨度の高い治療法を行っております(保険適応)。

また、ヨクイニン内服や活性型ビタミンD3外用薬を処方することもあります(保険適応)。

液体窒素凍結療法は、現在、疣贅治療の第1選択として最も頻用されており、イボを凍結・壊死させ、免疫反応を誘導してイボの排除を促す治療法です。

多くの場合、1回の治療で治すことは難しく、1~3週毎くらいで繰り返し行います。

尖圭コンジローマは、イミキモド外用薬での治療が可能です。局所の免疫を調整することにより、抗ウイルス効果を発揮すると考えられています。

ミズイボとは

伝染性軟属腫ウイルスに感染することで発症する感染症で、おもに小児にみられる疾患です。健康な子供では、半年から3年以内に自然治癒するとされています。

表面がツルツルして、みずみずしい光沢のある直径1mmから5mmくらいの小さな皮膚の盛り上がりで、てっぺんが少し凹んでいるのが特徴です。

痒みを伴うことがあり、引っ掻くなどして傷をつけると、イボの内容物が飛び出して、新たな場所に感染が広がってしまうことがよくあります。

ミズイボが小児に起こりやすい原因は、皮膚が薄くて柔らかく、バリア機能がまだ十分に発達していないことと、免疫がないため感染・悪化しやすいためとされています。

ミズイボの治療方法

自然治癒を待たず積極的に治療を行う場合、痛みを軽減させる局所麻酔薬テープの貼付後に、専用のピンセットで摘除しますが、痛みや出血を伴い、皮膚に傷ができるため、小児にはつらい治療になります。

経過観察をして1~2年ほどで自然治癒を待つか、積極的に治療を行うかは、ご家族の希望と医師の判断によるところが大きいです。

乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方は、皮膚バリア機能を強化するために保湿剤の使用をお勧めします。また、痒みのコントロールのために内服を使用することもあります。

ミスイボは感染症法においては生活上の制限は特にありませんが、感染拡大防止のために、プール時にラッシュガード着用など接触を避けるような工夫は必要です。